2020 / BON JOVI
まず、
「遂に臆面もなく一人で写るジャケットですか!」
とか、
「ホワイトハウスっぽい背景やグラサンに映る星条旗は、数年後は大統領選に出るんすか!?」
というツッコミは無しで。
僕が思ったのは。
ああ、ジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラは決定的に別の道を歩んでいるな、と言う事。
リッチー・サンボラは、音楽が好きな一人の男、なんだと思う。
一方、ジョン・ボン・ジョヴィは、過去にどうだったのかはわからないが、今は、自らの最大の武器であり影響力である音楽を通して、伝えたい意志を明確に持つ男なのではないか、
そう思う。
かつてはその両輪がBON JOVIであったが、今は別の道なんだなと、
そう思う。
彼の紡ぎ出す歌詞には明確な問いかけがあり、
彼の書くメロディは、過去の自身以外にあまり似ているところが見受けられない。
また、伝えたい意志が明確であるがゆえに、例えば高い声が出るか否かなどと言う問題に固執していない、いや、それを問題視していないからこそ、低い声で歌う事も恐れず、いとも簡単にその領域に挑む。
むしろ、鍛えるのが難しいと言われる低音域の力強さはCDで聴く限り過去最強で、僕は驚きを隠せない。
その曲が歌い継がれていくかと言う事も勿論あるが、それよりも、今この歌で伝えたい事!そこに軸を置いているようにも聞こえる。
それは、
ミュージシャンとして勇気のいる選択だとも思う。
実は数年前、
あージョンも声が出なくなってきたし、いよいよ終わりは近いな、なんて思っていたが。
それはとんでもない勘違いだった。
彼は、
高い声が出るとか出ないなんて些細な事として、
生きている限り、その時の彼で、
彼の目に、そして彼の心に映る真実を楽曲に昇華させ、
僕らに提示して問いかけ続けるのではないか。
押しつけでも、きれいごとでも、他人ごとでもなく、
自分も含めた、私たち(We)の立場で。
それはまるで、本来あるべきジャーナリズムのようでもあり、
成功を納めた彼が自らの背中に背負った使命感のようでもあり。
ああ、次のアルバムのタイトルは「WE」だな、とか思ったりしながら。
僕はじっくりこのアルバムを、
つまり、
「BON JOVIが自分たちの目線で切り取った今、2020年」ってやつに、対峙していきたい。
そう思うと、タイトルを「BON JOVI 2020」から単純に「2020」にしたのもまた、非常に奥が深いと感じる。
ジョン・ボン・ジョヴィと同じ時代に、
アルバム毎にリアルタイムで彼の音楽に触れ、
同じ時間や彼の主張を共有して歳を重ねてきた僕は、
今回もナチュラルに、このアルバムに共感し始めている。
あー、
僕もまだまだ今日を歩きながら、未来へ行かねばならんな。
僕はジョンに言いたい。
1人で背負うなよ、ファンのみんながいるとは言えないが、あまりにもちっぽけだが僕もいる。
1988年からだけど、
だいぶ遅れは取っているけれど、
僕もいる。
1人で背負うなよ、
「Wake up everybody , wake up , here we go! It's just another day .」
あなたから音楽を通したその向こう側で、
僕には、
あなたの声が今日も聴こえる。
【追伸1】アルバムを聴き終えて、改めて某紙のレビューを読んで、今回最も僕の感覚に近いと感じたのは増田さんです。
【追伸2】日本盤でセーソク兄いの解説がやたら長くて読み切れないが、気持ちはわかる(笑)。
音楽、いいですね!
※2020年発表作品